旅人、新世界をつくる

旅をしながら新世界をつくっている人の日常

全文公開!「セミナーで商品を売りたい!」と思ったときに読む本

以前、僕が出版した電子書籍 「セミナーで商品を売りたい!」と思ったときに読む本 の全文を公開することにした。

セミナーで商品を売りたい!と思ったときに読む本: 参加者はどういった心理で商品を買うのか?

ぼくはね、セミナーというのは、自分のやりたいことを実現させる素晴らしいツールだと思うのよね。

セミナーとかワークショップとかを主催して、自分が本当にやりたいことをやる。

比較的取り組みやすく、効果が出やすい、って実感があるんだよね。

だけどさ、セミナーの作り方とかちゃんと知らないと、それも適わない。

なので、この本がセミナーやってるけど、なんかうまくいかない人の役に立ったらいいなぁって思う。

僕は、これからの生き方として、世界を旅しながら知恵を役立ててもらう生き方を決めたけど、まずはじめに、これまで最も時間をかけ磨いてきた分野の知恵をここでシェアすることにしたよ。

これが読者さんのセミナービジネスの役に立ったら、すごく嬉しいね。

ということで、全文公開!

 

<以下、本文>

セミナーで商品を売りたい!」と思ったときに読む本

はじめに

今から7年前のこと。私は、とある著者の方のセミナーにスタッフとして参加していました。参加者数はおよそ200人。会場も広く、スタッフだけで20名以上。200名を集客し、20名のスタッフですから、相当コストも労力もかかっていることは簡単に想像ができます。19時スタートの二時間のセミナーで、終了後に70万円の高額商品販売が目的。いいわゆる『フロントセミナー』という商品販売を目的としたセミナーでした。

その時の講師はプレゼンテーションが非常に上手で、話も面白く、会場は大盛り上がり。参加者も真剣に話を聞きノートをとっています。セミナーも終盤に入り、いよいよ高額商品の紹介。今回は70万円の高額商品ということもあり、無料相談も用意しました。ここで質問です。参加者200名のうち何名が無料相談に申込をしたでしょう? また、何名が高額商品を購入したでしょう?

 では、正解の発表です。正解は、

無料相談の申込・・・2名

高額商品の購入・・・0名

これは紛れもない私の目の前で起こった事実です。

200名を集客するのは非常に労力がかかります。そして、200名収容の会場ですからコストもかかっています。こうしたコストも本命商品、いわゆる『バックエンド商品』が売れれば回収できますが、今回の場合はバックエンド商品購入者が0名。大赤字です。私はこの時、気が付きました。どんなに集客が出来たとしても、肝心の本命商品を売ることが出来なければビジネスは成り立たない、ということに。

 集客の役割は、営業マンの前に見込み客を連れてくること。

営業の役割は、見込み客を顧客にすること。

集客と営業の役割を知っていれば、集客をどんなに頑張っても売上は上がらないことが分かります。フロントセミナーの参加者は見込み客。その見込み客を顧客にする、つまり商品を成約に導く営業力がセミナービジネス経営をしていくためには非常に重要なポイントとなります。コンサルタントの中には、「集客がうまくいけばバックエンドが売れる」という方もいらっしゃいます。その方なりの経験や考えがおありでしょうから、私は特に否定をするつもりはありませんが、実際に私が目の当たりにした参加者200名でバックエンド成約0名という事実を考えると、集客だけに偏るのは非常に危険なように思います。

 セミナービジネスはバランスが重要です。特に商品作成、集客、営業、この3つのバランスがとれていなければ、セミナービジネスはうまくいきません。どんなに優れた商品、コンテンツが作れたとしても、知ってもらえなければ意味がありませんし、フロントセミナーに集客できたとしても、肝心のバックエンド商品が売れなければ赤字です。バックエンド商品が売れたとしても、商品自体の質が低ければクレームや返品となり、悪い評判が流れます。バランスが重要なのです。

この本はセミナービジネスの営業の本です。私はこれまで7年にわたり300を超えるセミナーに関わってきました。世界ナンバーワンコーチのアンソニー・ロビンズ氏や世界的実業家のピーター・セージ氏、中国の大富豪ロッキー・リャン氏、ウェルスダイナミクス創始者ロジャー・ハミルトン氏など世界トップスピーカーのセミナーにも関わることができ、多くのことをセミナー会場の現場で学ばせて貰いました。彼らは数時間の登壇で1億円を売上げます。しかし、その秘密はプレゼンテーションの秀逸さだけにあるわけではないことに私は気が付きました。セミナーで商品をセールスするためには何が必要なのか?どうすればセミナーで商品を売ることができるのか?その秘密について、本書でお伝えしていきます。

先にお伝えしておきますが、プレゼンテーションやセールストークのスキルについては本書では一切触れていません。この本で学べるのはセミナーの原理原則です。この原理原則を知れば、感情を煽るセールストークや値引き、特典などなくても、セミナーで商品は売れるということに確信が持てることでしょう。テクニックに頼るのではなく、セミナーの原理原則を学び営業力に磨きをかけ、その上でそれらのテクニックを有効に活用して頂ければと思います。それでは楽しんでお読みください。

 

第一章:セミナーとはいったい何だろう?

売れない理由をチェックしてみよう

いきなりですがセミナーで商品が売れない理由について書きたいと思います。まずはあなたの現在地を確認するためにも、2時間のフロントセミナーを開催しているとして、当てはまっているものにチェックをしてみてください。

□ 集客が出来ればバックエンドは売れると思っている
□ 講座中に参加者のやる気を引き出せていない
□ 参加者との信頼関係構築に費やす時間が30分以下
□ 講師と参加者間の信頼関係しか構築していない
□ 自己紹介では実績の話が大半を占めている
□ 参加者をセミナーに集中させる仕組みが無い
□ 参加者に「伝える」ことを意識している
□ セミナー進行の主導権を握れていない
□ 販売している商品に自信がない
□ 申し込み方法を丁寧に説明していない
□ バックエンド商品を購入したくなる雰囲気を作っていない
□ 参加者が退屈していることに気が付いていない
□ 参加者の共感を得られていない
□ テーマが多すぎて、セミナーにまとまりが無い
□ 問題解決すれば満足度は高まると思っている
□ 参加者の満足度は高めない方がいいと思っている
□ 参加者の行動を変えるプロセスを辿っていない
□ 参加者にどのような変化を与えればよいのかを知らない
□ 商品を販売することに抵抗感がある
□ 商品そのものを販売している

いかがでしょうか。チェックが多ければ多いほど、バックエンド商品販売の成功を妨げるブレーキは強くなります。もしかしたら、意味がよく分からない項目があったかもしれませんが、それはまだフロントセミナーに関する知識が不足している状態。しかし、安心してください。ここで現在のセミナーで商品販売する能力(セミナークロージング力)の状態が分かりましたので、あとは1つずつレベルアップしていけばいいだけです。本書を読み進めていくうちに、これらのチェックは1つずつ外れていき、セミナーで商品を販売することはそれほど難しいことではないということに気が付くことでしょう。

 

セミナーとは何をする場所なのか?

セミナークロージングは「セミナーとは何をする場所なのか?」という質問に答えられると成果がガラリと変わってきます。「セミナーは問題解決の場所です」と答える方がいらっしゃいますが、不正解ではないものの回答としては不十分。セミナーは問題解決の場所であるという思考を変えることが、セミナークロージング力を高める第一歩となります。セミナーとは何をする場所なのでしょう?その答えを明らかにする前に、次の質問について考えてみたいと思います。少し考えてみてください。

セミナーと自動車の試乗会の共通点は何だと思いますか?

いかがでしょう。分かりましたか?これは自動車の試乗会を考えてみると分かりやすいのですが、答えは『体験』です。様々な答えがあると思いますが、ここでお伝えしたいのは『人は体験を求めて会場に足を運ぶ』ということ。自動車の試乗会は、実際に車に触れ、運転席に座り、ハンドルを握ったりアクセルやブレーキを踏んでみる。トランクを開け、夏休みの家族旅行や恋人とのドライブなどを頭の中で想像してみる。そんな疑似体験する場所であり、来場者もそれを求めて足を運びます。排気量や燃費、回転数などネットやパンフレットで分かることが知りたくて来場してるわけではありません。

もう一つの例を考えてみましょう。あなたはイタリア料理を習いたいとします。ネットでイタリア料理が学べる料理教室を見つけ、お試し教室に参加。案内された会場は、キッチンではなく会議室で、先生はエプロン姿ではなくビシッとしたスーツ。終始テキストとスライドでイタリア料理の作り方を学び、一切の調理器具に触れることなく終了。帰り際に本教室への案内がありました。あなたはこのイタリア料理教室に申し込みますか?

恐らくほとんどの方は申し込まないでしょう。しっかりとしたテキストとスライドでイタリア料理を習うという目的は達せられるはずです。なのに申し込みをしない理由は、もうお分かりですね。参加者はイタリア料理を作る体験がしたいのです。包丁で具材を切り、パスタを茹で、フライパンで炒めたいというのが参加者の希望。体験がしたいのです。

セミナーはどうでしょう?一昔前までは情報は入手が難しかったため、問題解決だけでも満足されました。しかしインターネットが発達した現在、上質な情報は国内外関係なく簡単に入手できます。しかも無料。ですので、問題解決の情報だけではすでに満足されません。参加者の満足度を高めるためには『体験』が必要なのです。セミナーにおける体験を更に具体的にいえば、『参加者の理想と現実のギャップを埋める体験』を指します。参加者は理想と現実のギャップを埋めたくて、時間とお金を使って会場に来ています。本当に望んでいるのは、問題解決そのものではありません。問題解決方法を学ぶことは、ギャップを埋める手段の1つだということを覚えておいてください。この考えがセミナークロージング力を高める土台となります。詳しくは、第2章以降で説明していきますので、ここでは『セミナーは、参加者の理想と現実のギャップを埋める体験の場所』ということだけ頭に入れておいてください。

 

参加者が本当に欲しがっているものとは?

セミナーは、参加者の理想と現実のギャップを埋める体験の場所であるということは分かりました。参加者が求めているのは問題解決ではなく、体験であることもご理解いただいたと思います。では次に考えていきたいのは、参加者は本当は何を求めているのか? この部分を究明していくことによって、セミナーのつくり方は変わり、満足度やバックエンド成約率は一気に高まるので、ここでしっかりと押さえていきましょう。

参加者は本当は何を求めているのでしょう?その答えを探していくために、再度、自動車の試乗会を考えてみましょう。試乗会では実際に車に触れ、ハンドルを握り、シートの位置を合わせ、シートベルトを締めたり、ダッシュボードを開けてみたり、トランクやボンネットを開けてみたり、とにかく五感で車を体験します。と同時に頭の中では、夏の家族旅行がシミュレーションされ、助手席には日焼け止めを一生懸命塗るサングラスに麦わら帽子の奥さん、後ろの席にはすでに水着に着替え、浮き輪を膨らましてはしゃいでいる兄弟。「ねぇ、パパ~、まだ着かないの」「もうすぐだよ。楽しみだね」、そんな会話も聞こえてきそうです。しかし、これは脳内の疑似体験。問題は、この疑似体験によって何が生まれるか? ということです。

この疑似体験によって生まれるものは『感情』。実は、人が体験をしたいのは『感情』を感じたいからです。試乗会に参加する人は車が欲しいわけでも家族旅行がしたいわけでもありません。家族を旅行に連れていけるという自信だったり誇らしさ、家族との愛情やワクワク感やドキドキ感など『自動車にまつわる出来事によって生じる感情』を感じたいのです。実際の自動車のCMには、家族4人で旅行に行くCMもあります。そのCMを見た人は、頭の中で自分の家族に当てはめてシミュレーションをし、感情が沸き上がります。そして、より強く感情を感じるために試乗会に行き、自動車を購入し実際に家族旅行に行って更に強く感情を感じます。脳内の疑似体験によって湧き上がる感情だけでなく、五感の刺激によって沸き起こる感情を感じたいのです。

セミナーはどうでしょうか?セミナーも同様で本当に欲しいものは感情。参加者の理想と現実のギャップが埋まった時、いわゆる『成功』した時の感情を味わいたいのです。セミナーで商品を売る時は、商品を購入した後、どんな未来が待っているのかを想像させると商品は売れます。なぜなら未来を想像することによって感情が掻き立てられ、その商品を購入するとその感情を現実に感じられると思うからです。極端な話、購入者からしたら感じたい感情が感じられるのであれば、商品は何だって構わないのです。人が本当に欲しいものは物質そのものや行動ではありません。感じたい感情を感じるために様々な行動をとります。これはフロントセミナーでバックエンド商品を販売するための基本概念となるので覚えておいてください。

 

フロントセミナーの役割と目的を理解しよう

セミナーで商品が売れない方の話を聞くと、どうやらフロントセミナーの役割と目的が曖昧な方が多いように感じます。何となくは理解していても、しっかりと理解しフロントセミナーを構築していかない限り、例えバックエンド商品が売れたとしても、それは一過性で再現性の無いフロントセミナーになりかねません。この機会にフロントセミナーとは何か、どのような役割や目的があるのかについての認識を深めていきましょう。

ここで潜在顧客が見込み顧客となり顧客になるまでのプロセスを追ってみましょう。例として、あなたはブログ集客の専門家で、インターネットをメインで集客をしていると過程として進めていきます。

 ブログを書いているけどアクセスが全くなくメルマガ登録数も増えずに集客に困っているAさん(潜在顧客)。Aさんはブログ集客の悩みを解決しようと、検索サイトでキーワードを打ち込みます。『ブログ集客』に関するサイトが一覧として表示され、その中からあなたのサイトを発見。URLをクリックし、あなたのサイトに訪れます。Aさんはあなたの記事やサービス内容を見ていると、ブログ集客に関する無料レポートを配布していることに気づき、氏名とメールアドレスを入力し無料レポートを入手します。(見込み顧客)Aさんの元に定期的にメールマガジンが届き、次第にあなたのセミナーに興味を持ち始め、フロントセミナーに参加。(一回顧客)フロントセミナーでブログ集客の可能性を感じ、もっと詳しく学びたくバックエンドに申し込みました。(既存顧客)

 このストーリーのプロセスはセミナービジネスでは王道で多くの方が用いているので、イメージがしやすいのではないでしょうか。お気づきの通り顧客は、潜在顧客、見込み顧客、一回顧客、既存顧客の順で成長していきます。これをみると、フロントセミナーは一回顧客を既存顧客すること、もう少し簡単に言えば『バックエンド商品を成約させる』が目的であるということがすぐにご理解できるでしょう。フロントセミナーはバックエンド商品を販売し、成約させるために存在しているのです。ではフロントセミナーにどのような役割を与えれば、バックエンド商品を成約に導けるのでしょうか?

フロントセミナーの役割とは何か?それは、『バックエンド商品のお試し版』です。フロントセミナーは『バックエンド商品のお試し版』という役割を担っています。しかし、バックエンド商品が売れない方は、この『お試し版』という役割を大きく超え、バックエンド商品のコンテンツを出し過ぎてしまうのです。お試し版であるフロントセミナーでバックエンド商品のコンテンツが多く出てくれば、わざわざ高いお金を払ってバックエンド商品を購入する意味を感じなくなってしまいます。参加者のためをと思って、ついやってしまう気持ちも分かりますが、これではビジネスではなくボランティア。役割以上のことをすると自分の首を絞めることになるので、フロントセミナーの役割と目的は常に意識して構築していきましょう。

 

三本柱でセミナークロージング力を高める

ここまでセミナークロージングの基礎概念に関して学んできました。これからはさらに細部について学んでいきます。セミナークロージングには大きく3つの柱があります。『セミナー心理学』『クロージングシナリオ』『会場運営』の3つ。本書では、この3つの柱をマスターする方法をお伝えしています。

セミナーはコミュニケーションの場です。人間が相手である以上、人間について詳しく知っておいて損はありません。特に人間の心理や脳の仕組み等を理解しておくと、多種多様の戦略を練り、戦術を産み出すことが可能になってきます。優れたスピーカーの中には、心理学やNLPをふんだんに活用している方は少なくありません。むしろ活用しているからこそ、優れたスピーカーであると言ってもいいでしょう。第2章ではセミナー心理学として、心理学やNLPコーチングの基礎知識とともに、セミナーへの応用方法を学んでいきます。『クロージングシナリオ』『会場運営』の2つの柱は、セミナー心理学が土台となっています。

冒頭にもお伝えしましたが、この本にはプレゼンテーションや感情を煽るセールストークに関する記述はありません。その理由は『クロージングシナリオ』『会場運営』ができていれば、特に記述するほどのことではないからです。『売る』のではなく『紹介したら売れていく』そんなシナリオを作れば、特に感情を煽る必要もありません。また、シナリオに沿って数回練習すれば、プレゼンテーションはすぐに上達します。重要なのはシナリオです。第3章では、バックエンド商品販売を目的としたセミナーのシナリオ作りについて学んでいきます。

世界トップスピーカーのセミナーサポート時に驚いたことは、会場設営についてのこだわりです。セミナーは会場設営やスタッフの応対など、運営の質によって参加者満足度は大きく変化し、バックエンド成約率にも影響してきます。参加者が5名だろうと5千名だろうと、セミナー運営を疎かにしてはいけません。なぜなら、セミナー運営とは『おもてなし』だからです。セミナー運営に意識を向けないのは、来客があるのに掃除をせず、スリッパも出さず、お茶も出さないのと同じこと。第4章では、参加者をもてなしつつ、バックエンド成約率を高めるセミナー運営の方法について学んでいきます。

セミナークロージング力の3本柱『セミナー心理学』『クロージングシナリオ』『会場運営』を学ぶと、加速度的にバックエンド成約率は高まっていきます。というのも、誰かのセミナーに行った時、セミナーの流れや設営、運営に関する講師や主催者の意図が、まるでレントゲンのように丸見えになり、セミナー作りのリソースがドンドン増えていくからです。さぁ、いよいよ時間となりました。セミナークロージング力の3本柱を学んでいきましょう。

 

第二章:フロントセミナーで知っておく参加者心理

セミナーは満足させるべきか?否か?

セミナーで商品を販売するということを考えたとき、参加者の満足度についての理解を深めることは無視できません。なぜなら参加者の満足度は、バックエンド成約率に大きく影響してくるからです。ある人はこう言います。「フロントセミナーでは、満足させてはいけません」しかし、フロントセミナーに満足していないのに、バックエンド商品を紹介されて購入する気になるでしょうか? 恐らくならないでしょう。実際の所、フロントセミナーでは参加者を満足させた方がいいのでしょうか? それとも、させない方がいいのでしょうか?

フロントセミナーを作る際に胆に銘じておきたい2つのNGがあります。1つ目は、参加者を満足させすぎること。これはバックエンドが売れない方によくありがちで、第1章でお伝えしたフロントセミナーの役割を見失ったときに起こります。焼肉食べ放題で散々お腹いっぱいになった後に、寿司食べ放題を勧められても、お腹いっぱいでもう入りません。それと同じことがフロントセミナーでも起こり、参加者にしてみれば消化しきれないほどの情報を得たので、バックエンド商品を買う意味が無いというわけです。参加者を満足させすぎることは、絶対にやめましょう。

2つ目のNGは、参加者に不満を感じさせてしまうこと。参加者はある程度の期待値をもっています。期待値を大きく上回れば感動が生まれ、期待値を大きく下回ればクレームが生まれます。不満というのは期待値に届いていない状況、期待外れ。日常生活を考えてみても、期待外れのサービスをもう一度うける気にはなりません。ビジネスとして期待以上を目指したいですが、せめて期待通りのサービスが提供できなければ、もう見向きもされません。今の時代、あまりに酷ければネットで叩かれます。ビジネスである以上、参加者の期待値を超えるセミナーを作っていきましょう。

2つのNGを考えると、「満足させずに不満を感じさせない、そこそこのセミナーを作ればいいのでは?」と思うかもしれませんが、そこそこのセミナーは平凡で退屈なセミナーに成り下がります。フロントセミナーは極上のセミナーに仕上げる必要があるのです。しかし、満足させすぎてもいけないし、不満も感じさせてもいけない。「どうしたらいいのですか?」そんな声も聞こえてきそうです。もしかしたら八方塞がりのように感じるかもしれませんが、安心してください。方法はちゃんとあります。フロントセミナーは、満足させずに満足させればいいのです。

「満足させずに満足させるだって? 余計に混乱するよ……」そう思うかもしれませんが、実際にフロントセミナーは満足させずに満足させなければいけないのです。満足させずに満足させるセミナーとは一体どういうものなのか? これから、この矛盾を含むフロントセミナーの考え方について、さらに詳しく解説していきたいと思います。

 

満足させずに満足させないセミナーをつくる

ここでワークを2つしてみたいと思います。少し時間をとって次の2つの質問に答えてみてください。

質問1:あなたがこれまで参加したセミナーを振り返ると、どのような点に満足をしましたか?

質問2:あなたがこれまで参加したセミナーを振り返ると、どのような点に不満を感じましたか?

これまで私のセミナーで同じ質問をしたところ、次のような答えが返ってきました。

満足した点:話が分かりやすかった、講師に実績がある、声が聞き取りやすかった、ワークが多かった、実践的な内容、知りたいことが学べた、気づきがあった、講師に清潔感があった、レジュメがあった、会場が駅から近かった、話に共感できた、トイレがきれい、事例が多かった、講師に自信があった、退屈せず楽しかった、スタッフの対応がよかった、参加者同士の交流がもてた、懇親会があった、感動した、やるべきことが分かった、決断ができた、思い込みが外れた、食事が付いていた、会場が広かった、会場が静かでセミナーに集中できた、参加者の質が良かった など

不満を感じた点:話がつまらなくて眠くなった、講師の自慢が多かった、話の脱線が多すぎる、声が小さかった、スライドが見えなかった、講師が自信がなさそうで頼りなかった、抽象的な話ばかり、講師に清潔感がなかった、会場が遠かった、会場が分かりにくく道に迷った、スタッフの対応が事務的、ワークが少なかった、退屈だった、参加者同士の交流がなかった、懇親会がなかった、会場の周りがうるさくてセミナーに集中できなかった、参加者の質が悪かった、会場の雰囲気が悪かった、肝心な所が分からなかった、会場の室温が寒すぎる など

あなたの答えはいかがだったでしょう? 似たような答えが出てきたかもしれませんね。さてここで、満足した点と不満を感じた点を見比べてみてください。するとあることに気が付くと思います。それは、参加者が満足感を感じる要素の8割はサービスやホスピタリティであり、問題解決に満足する割合は2割程度だということです。これは、どんなに参加者の問題を解決しようとも、それは全体の2割ほどしかなく、『参加者の問題を解決すれば満足度は高くなる』という考えは大きな勘違いだということを意味します。実はここがバックエンド成約率に大きく関係してくるのです。

セミナーにおける参加者満足度には2つの軸があります。1つは『問題解決』、もう1つは『ホスピタリティ』。参加者の満足度は高いのにバックエンドが売れないという状況を作り出しているのは、まさにこの2つの軸を知らずに混同していることが原因です。問題解決によって満足度を高めているばかりに、バックエンド商品の必要性を下げてしまっているのです。しかし、問題解決はそれほどしなくても、ホスピタリティで十分に満足度を高めることは可能であることは、もうご理解いただけたことでしょう。フロントセミナーでは、2つの軸のバランスを保つということを覚えておいてください。

 

フロントセミナーは4つの変化を起こせ!

フロントセミナー構築の際、最も意識しなければいけないことは『変化』。参加者は変化を求めてセミナーに参加しますし、講師は参加者に変化が起きるように誘導していく必要があります。参加者にどうやって変化を与えるのか? その答えを知ることにより、特典や値引き、期間限定、返金保証、ましてや感情を煽る売り込み等はあくまでオプションとしての行為であり、それらに頼らずともセミナーで商品は売れることがご理解できることでしょう。

フロントセミナーで起こす変化は4つです。まず1つ目は『結果』の変化。セミナーの前後で起こるの状態変化、例えば、参加者の3割がバックエンド商品に申し込んだ、などが結果の変化です。『結果』の変化は至極当たり前のことですが、無視をすると他の3つの変化に盲目になりかねませんので、あえて結果の変化は意識しておきましょう。では、結果に変化を起こすためには、何をすればいいのでしょう?

すぐにお分かりになったかもしれませんが、答えは『行動』。結果を変えるためには行動を変えることが必要であり、『行動』の変化が起こすべき2つ目の変化です。参加者が申込書にサインをしてスタッフに提出、という行動を起こすことが出来れば、バックエンドが売れた、という結果を産み出せます。では、行動に変化を起こすためには、何に変化を起こせばいいのでしょうか?

人の行動に変化を起こすもの。それは、『感情』です。人は感情が変わるととる行動が変化します。つまり行動を変えたいのであれば、感情を変えるということ。3つ目の変化は『感情』の変化です。特典や値引き、期間限定、返金保証、売り込み等は、参加者の感情を変化させ申込をさせるテクニックということは、もうお気づきかもしれません。こうしたテクニックによって一時的に感情を変化させると、確かに商品は売れます。しかし、本心では商品が必要でない人にも販売してしまうので、帰宅し冷静になった参加者はキャンセルや返品、時にはクレームになることも少なくありません。こうしたテクニックはデメリットも理解した上で活用するようにしましょう。

さて4つ目の変化が残っています。感情は何によって変化をするのでしょう? 答えは『世界観』です。ここでいう世界観とは、頭の中に作り上げた世界の認識。つまり、自分の生きる世界をどのように認識しているかであり、信念や価値観、アイデンティティなどが要素となります。世界観が変われば、感情は変わり、行動が変わり、結果が変わっていくのです。例えば、自分はダメな人間だというセルフイメージから、勇気のある人間だと世界観が変化すると、勇気や自信、可能性などを感じ、自分を成長させるためにバックエンドに申込むようになります。

フロントセミナーには世界観、感情、行動、結果の4つの変化がありますが、世界観を変化させれば感情、行動、結果は芋づる式に変化していきます。フロントセミナーは世界観の変化が最も重要であり、世界観を変えるためのセミナー作りが必要だということを覚えておいてください。

 

参加者を安心させることに集中しよう

フロントセミナーでは参加者の世界観を変えることが重要であるとお伝えしました。ここで、セミナー参加前に参加者はどのようにあなたやあなたのセミナーを認識しているのかを探っていきましょう。残念なことに大抵の参加者は、あなたをそれほど信頼していません。それどころか懐疑的でさえあったりします。お金と時間を費やしてわざわざ会場に来ているのに、です。

講師は望んだものを提供してくれるのか? 信頼に値する人物か?セミナーに参加したことは間違いではなかったか? コンテンツは本当に使えるのか? 使いこなせるのか? 理解できるのか? ペースについていけるのか? 他の参加者とうまくやっていけるか? 退屈しないか? 騙されないか? などのように非常に様々なことを疑っている状態。つまり、セミナー前は『あなたは不安要素が多くて信頼しきれない』という認識であるということを意味します。

セミナークロージングを成功させるために、セミナー終了時にどのような世界観に参加者はなっていればいいでしょうか? 新しいことを始める時のことを考えると分かりやすいのですが、答えは『安心』。安心がセミナークロージングを成功へのカギとなります。人は安心を感じなければ、チャレンジをしようとしません。セミナーには『あなたには安心して人生を預けることができる』という世界観への変化が必要で、この変化があるからこそバックエンド商品に申し込む(チャレンジ)ようになるのです。

ビジネスには信頼関係の構築が重要だと言われますが、そもそも信頼関係の構築がなぜ必要なのでしょうか? それは信頼関係を構築し顧客に安心して貰わなければ、商品を購入してもらうどころか、話すら聞いてくれないからです。顧客が安心し心を開いてくれるからこそ、悩みを打ち明けてくれ、商品を購入してくれます。知らない人と話をする、仲良くない人に悩みを打ち明ける、商品を購入する。これらは全てチャレンジ。だからこそ『自分は安全な人間だ』と顧客に認識してもらうために、信頼関係を構築するのです。

フロントセミナーのキーワードは『安心』。いかに参加者に安心をしてもらうかがポイントとなってきます。参加者に安心してもらうためには、受付で座席位置を案内する、参加者同士の信頼関係を構築させる、スタッフが笑顔でサポート、理解度を確認しながら進める などできることは沢山あります。こうした行動を考えていると、安心はホスピタリティによってもたらされるということに気が付くと思います。先に述べたように参加者満足度の8割はホスピタリティ。参加者が安心する方法を実施すると、満足度が高まりバックエンド商品が売れるという公式はできあがっているのです。参加者を安心させ満足させ「あなたになら私のお金をお預けすることができます」という安心度が高まれば、商品は売れるようになります。顧客の安心度に比例して、商品が売れるのです。商品を売る前にまず参加者を安心させる。絶対に忘れないようにしておいてください。

 

フロントセミナーは問題解決をしなくてもよい

突然ですが、フロントセミナーでは問題解決はしなくても構いません。「そんなバカな」と不思議に思うかもしれませんが、これからその理由についてお伝えしていきます。

フロントセミナーのカギは、『安全』にあるとお伝えしました。参加者に安全を提供しなければいけないということは、参加者は何らかの不安を抱いているということを意味します。講師やセミナーに対しての不安もありますが、それ以上に不安なことは『自分自身の現在地が分からないこと』。自分がどのような状態で、どこにいて、これからどうすればいいのかわからない、そんな場面になると大きな不安に襲われますが、セミナー参加者はまさに同じような状態です。

フロントセミナーの参加者は自分に問題があることはわかっています。しかし、なぜ自分がその問題に出くわしているのか原因を理解していません。原因が分からないので、対策も分からずセミナーに参加しています。ですので、フロントセミナーに本当に必要なのは、問題解決ではなく原因究明。参加者が抱える問題を引き起こしている原因を究明し提示することによって参加者を安心させ、可能性を感じさせることが重要です。

実際にやってみると分かりますが原因究明をすると、次のようなアンケートを頂きます。「わたしがこれまでうまくいっていない原因が分かりました。これで前に進めそうです。ありがとうございました!!」 原因究明による安心感は、満足度を高めるのです。

ここでセミナー参加者の教育レベルをここでお伝えしましょう。

レベル1:問題は認識しているが、原因を認識していない
レベル2:問題の原因は認識しているが、解決策を持っていない
レベル3:問題の解決策を持っているが、解決していない
レベル4:問題は解決している

フロントセミナーの参加者はレベル1の状態がほとんど。問題があることは認識しているが、なぜそうなっているかは分からない状態です。ですので、まずやるべきことは問題の原因を究明し、レベル2へと引き上げること。問題解決はその後、レベル2からレベル3のフェーズとなります。

フロントセミナーでは参加者の問題の原因を伝え、その原因を改善や除去する解決策を提案する(バックエンド商品販売)という考え方が基本です。これはバックエンド商品が何であれ考え方は同じで、何かうまくいっていない原因が伝えてから解決策の販売へと移っていきます。フロントセミナーでは問題解決を一切しなくてもいいのです。

フロントセミナーの時間が長い場合、原因の究明だけでは参加者が納得しない場合もあります。その場合は、たった1つだけ問題を解決します。そして必ずやらなければいけないことは、問題を解決した時に発生するさらなる問題を必ず提示すること。これをしなければ、提供した解決策で全てが解決すると勘違いしかねません。すると、バックエンド商品は売れなくなるので、さらなる問題を提示することを忘れないようご注意ください。

 

第三章:参加者を商品購入に導くクロージングシナリオ

ゴールへとスムーズに流れるシナリオを作る

これからセミナー終了時に商品申込へと誘導させるクロージングシナリオをお伝えしていきます。フロントセミナーの長さが一時間でも八時間でも基本的な流れや作り方は変わりません。慣れてくると10分ほどのミニセミナーでも聴衆に興味を持たせ、購入に導くことも可能となります。講師をしているとふいに10分間の登壇時間を頂けることがありますので、そのときのために一〇分用シナリオを用意しておくと便利です。

フロントセミナーで最終的に参加者にとらせるアクションとは何でしょうか? バックエンド商品の申込書にサインをさせること……では足りません。最終的にとらせるアクションとは『バックエンド商品の申込書にサインさせ、提出させる』。サインをすることと提出することは全く別の行動ですので、別々に考えていく必要があります。どうしたら申込書にサインをしてくれるか? そして、提出してくれるか? を常に念頭に置いて作成していくことは、クロージングシナリオの基本となるので覚えておいてください。

文章構成に起承転結があるように、クロージングシナリオにも構成があり、

1:信頼関係を構築する(コネクト)
2:セミナーに集中させる(フォーカス)
3:ショックを起こす(ショック)
4:学びと気づきを与える(ソリューション)
5:商品購入に導く(アクション)

という5つのパートによって目的に適ったシナリオを作り上げることが可能となります。各パートの詳細についてはこの先でお伝えしますが、ここでは、信頼関係を構築し、セミナーに集中させ、ショックを起こし、学びと気づきを与え、商品購入に導く という流れをイメージできれば問題ありません。

クロージングシナリオでは『一貫性』を常に意識しましょう。フロントセミナーの内容や構成の一貫性はもちろんのこと、告知内容、フロントセミナー、バックエンド商品のビジネスとしての一貫性も考えて作成していかなければいけません。一貫性を失い矛盾があると参加者は商品を購入しません。例えば、ブログ集客の専門家がブログ集客方法についてのフロントセミナーで恋愛心理ばかり講義をして、恋愛コーチングを販売するような一貫性の無さは信頼も得ることはありません。

セミナー終了時に参加者にとらせるアクションは一つに絞りましょう。2つのバックエンド商品を販売したり、商品申込とアンケート記入をさせる等、複数のアクションは避けた方が無難です。というのも、選択肢があると迷った挙句どれも選択をしないという選択をしますし、アンケートについてもフロントセミナー参加者よりもバックエンド購入者の方が濃い意見を頂けます。場合によっては動画で感想が貰えるので、フロントセミナーで実施する理由はさほどありません。もちろん複数のアクションをとらせる方法もありますが、まずは1つの商品を販売することにエネルギーを集中しましょう。

 

信頼関係!信頼関係!!信頼関係!!!

クロージングシナリオの第1パートはコネクト。参加者との信頼関係をガッチリ構築していきます。信頼関係の構築は、参加者の不安を取り除き安心感を与え、心を開かせていきます。参加者がセミナーを楽しみ、気づきと学びを得るためにも、まずはコネクトパートで信頼関係を作り、心でつながった状態を作り出します。とにかく信頼関係が第一です!

セミナーでの信頼関係を考えるときに、講師と参加者だけの信頼関係では不十分です。セミナーでは、講師と参加者、参加者と参加者、講師とスタッフ、参加者とスタッフの4つの信頼関係構築が必要となります。これは『わたし』『あなた』という分離された関係ではなく、『われわれ』という仲間意識を作り出すためにあります。「スタッフさんが親切だったので商品を購入しました」などとスタッフのクロージングが成功したり、「私は買いますけど、あなたは買わないんですか?」と参加者が他の参加者の背中を押すような状態は、会場全体の仲間意識が産み出すのです。講師と参加者の信頼関係だけではないということを覚えておいてください。

コネクトパートで参加者に伝えることは3つ。1つ目は、自分は何者なのか? 2つ目は、自分は何の権利があって人前に立って話をしているのか? 3つ目は、自分は何が目的でここにいるのか? この3つをこの順番で伝えることで、短時間で参加者との信頼関係を構築できます。3つの中でも最も大事なのは、『人前に立って話す権利』。セミナー開始時、参加者は「何故、あなたの話を聞かなければいけないの?」と思っているので、講師は「わたしは参加者の前で話す権利があるんだ」という事を参加者に伝える必要があるのです。

『人前に立って話す権利』を示す具体的方法は、自己紹介です。なぜこのセミナーを開催しているのか? の過去から現在、そして未来への一連のストーリーが参加者の心を掴み、グッと話に惹きこみます。自己紹介の作成ポイントは、権威と共感。実績などの権威ばかりだと「あなただから出来たんでしょ」と思われてしまいます。フロントセミナーでは「わたしにもできるかも」を引き出したいため、自己開示が必要になってきます。つらい経験、失敗した経験は「この人も昔はわたしと同じような状況だったんだ」と聴衆の共感を生むのです。『この人みたいになりたい』『わたしと同じだったんだ』の権威と共感、どちらかではなく両方が必要です。

権威を示すというと「実績がない人は権威を示せないの?」という質問を受けますが、そんなことはありません。ビジネスには『売れる実績がない時はビジョンを売れ』という言葉があるのですが、実績をこれから作り出す段階の場合にはビジョンが十分な権威となります。例えば「私にはまだ実績がありません。しかし、過去の出来事から○○という思いが生まれました。私にはビジョンがあります。そのビジョンのために、今回こうしてセミナーを開催するに至りました」このようなビジョンを語れる時点で大いに人前に立って話す権利はあります。実績がない時には熱くビジョンを語ってください。

 

参加者に当事者意識を持たせよう

第2のフォーカスパートに移ります。このパートの大きな役割は、参加者に当事者意識を持たせ、セミナーに集中させること。セミナーの価格に関係なく、大抵の参加者は当事者意識が低く、どこか他人事のようにセミナーに参加しています。セミナーに参加する事が目的になり、本来の目的を忘れている場合やノウハウコレクターになっている場合、セミナーに参加すれば何とかなるだろうと思っている場合もあります。そんな参加者に「このままじゃヤバい・・・」と感じさせ、積極的にセミナーに参加させるがフォーカスパートです。

当事者意識を持たせる最も簡単な方法は、参加者にセミナーの参加目的を確認させることです。セミナーに何故申し込んだのか?何を持って帰りたいのか?などの参加目的を頭の中で確認するのではなく、口に出したり、紙に書いたりとアウトプットさせます。外側からあれこれ言うのではなく、参加者の内側からやる気を引き出すことがポイント。参加者同士で自己紹介をし、同時に参加目的もシェアをすると、参加者間の信頼関係も構築できて一石二鳥です。

参加目的の確認だけでは当事者意識はさほど高まりません。本当に必要なのは、『視点の変更による感情の増幅』で、これまでとは違う視点で自分を見つめ、その時に沸き起こる感情を活用します。視点は沢山あります。例えば、3年後の未来から現在を見てみる、人生全体からビジネスを見てみる、成功している自分から現在の銀行残高を見てみる、など様々な視点を考えることが可能です。では、どの視点を持たせればいいのでしょうか? それは、最終的に感じさせたい感情によって決まります。

人は痛みを避けて快楽を得るために行動します。ということは、痛みを感じる視点、快楽を感じる視点を持たせれば、自動的に痛みや快楽の感情が沸き起こり、何らかの行動をとるようになります。痛みを感じさせるには、普段目を背けている現実を確認させると効果的です。例えばセミナーに参加しても行動せず成果を出さないに、これまでの自己投資金額と回収額を確認させると、自己投資金額の多さと回収金額の低さのギャップを目の当たりにし非常に痛みを感じます。一方、快楽を感じさせるのは非常に簡単で、夢や目標が達成している状態を想像させれば十分です。

人は痛みを避け、快楽を得るために行動をしますが、痛みの方が行動への原動力としては強いです。ですので、クロージングシナリオは快楽を感じさせてから痛みを感じさせるように設計しましょう。快楽と痛みのギャップがある方がより効果的です。初めに散々理想の状態を想像させ気分を良くした後、一気に現実を見せ痛みを感じさせます。そこで一言。「あなたは今の状況をどうしたいですか?」この流れによって参加者は当事者意識を持ち、セミナーに集中するようになります。フォーカスパートは、痛みを感じさせて相手を傷つけることが目的ではないので、相手への敬意を示し信頼関係を構築した上で、やり過ぎない程度に痛みを感じさせるようご注意ください。

 

参加者の脳にショックを与えろ!

第3のパートは、ショックパート。その名の通り、参加者にショックを与えるパートとなります。ここでショックを与えることにより、第4パートのインパクトが増し、参加者をファン化させることができます。

参加者にショックを与えるとはどういうことでしょうか? それは、『参加者の常識を壊し混乱させる』ということです。参加者の頭の中にあるセミナーのテーマに関する常識を一つ一つ壊していきます。例えばブログ集客のセミナーであれば、タイトルが重要である、大量にアクセスを集める、毎日更新する、役に立つ記事を書く、まずはアメブロから始める などの参加者の頭の中にある常識を提示し、「それは全て間違いです!」という証明を一つ一つして常識を壊していくのです。

参加者の常識、つまりこれまで信じていたものが一つずつ、やがては全て壊されていくのですから、当然のごとく頭が混乱してきます。そんな混乱時に新しい常識を目の前に提示されたらどうでしょうか? 人は混乱時に現れた新常識を信じるようになるのです。その性質を活用し、シナリオは第3パートで常識を壊し混乱状態を作り、第4パートで新常識を提示するという流れで構成していきます。こうした常識を壊す方法はセールスレターでも多く使用されているのを確認することができる、非常に有効な方法なのでセミナーでも活用していきましょう。

ショックパートの目的は「いったい何を信じたらいいの?」を参加者から引き出すこと。とはいえ限られたセミナーの時間内で全ての常識を壊すことは難しくもあります。ですので、最もインパクトのある常識を3つ壊しましょう。例えばブログ集客なのに「ブログを書くことをやめたら集客できます」といった非常識な衝撃が必要です。その後しっかりと矛盾なく『ブログを書かない方がブログ集客ができる理由』を説明していかなければいけませんが、インパクトとしては強くなります。この強力なインパクトを3つも与えれば十分でしょう。時間によって3つできない場合は、1つでも構いません。必ず何かしら常識を壊すことを忘れないでください。

参加者は自分の信じている常識が誤解であることをすぐに認めようとしない場合も多くあります。そのため常識が誤解である理由をじっくり説明していくのですが、さらに強力なのは事例です。常識を壊した後に発生する成功事例、先の例でいえばブログを書くことをやめたらブログ集客ができるようになった事例を見せると非常に強力。成功事例が何よりも証拠になりますので、常識を一つ壊すごとに成功事例を見せるようにしましょう。

こうして参加者の常識を壊し混乱を起こすことによって、第4パートの土台作りができます。常識を壊して解決策を提供するのと、常識を壊さずに解決策を提示するのでは、明らかに参加者の関心度が変わりますので、ショックは確実に起こしましょう。


フロントセミナーでは問題は解決しなくていい

第4パートは、気づきと学びを与えるソリューションパート。第3パートで参加者の常識を壊し、ここで新常識を提供し、参加者をファン化していきます。フロントセミナーでは基本的に問題解決をしなくてもよいとお伝えしました。実際にここまで問題解決については触れておらず、参加者に問題の原因を明示しているだけです。しかし、自分がうまくいっていない原因が分かるだけで、どれほどの可能性を感じるかは想像にたやすいと思います。

第4パートでも問題解決は基本しません。やることは問題を解決することではなく、問題を解決するための道筋を示すこと。望む未来への地図とルートを提供していきます。フロントセミナーでは安全を感じさせることがカギだと先に述べましたが、道筋を示すことは心の不安を取り除きます。全く手探りで目的地で行けと言われて、行動できる人は多くありません。何を準備すればいいのか、どんなルートで進めばいいのか、どんなことに気をつけていいのか、などの不安要素を取り除くからこそ、一歩を踏み出しやすくなります。

具体的には、全体像を見せることです。例えば私のスクールビジネス講座では、年商300万円から1億円までのプロセスを5つのステップで見せています。他にライフバランスのように複数の分野、要素をみせたり、書道や空手のようにレベル、級に分けて見せる方法もあり、どれを選ぶかはコンテンツによって異なりますが、いずれにしろ全体像を見せると参加者を安心させ、全てをマスターしたときのイメージがつきやすくなります。

全体像をみせたら、次に見せるのは中継地点、各パートの状態です。5つのステップでいえば、各ステップがどのような状態なのかを示していきます。そして、次のステップに進むための条件や次のステップに進めない原因なども同時に伝えます。ここでの注意点は、どうやって次のステップに進むのかについて、つまり問題の解決策は提供してはいけません。なぜなら問題解決策は、バックエンド商品そのものだからです。ここで解決策を出し過ぎると、バックエンドが売れなくなるので注意してください。

とはいえ、フロントセミナーの時間が長いと問題解決をせざるを得なくなります。そこで、一部だけを深く、もしくは全体を浅く解決策を提示していきます。5つのステップでいえば最初のステップ一だけ深くやり、「あとの4つのステップはバックエンドで詳しくやります」という流れ。もしくは5つのステップ全体を浅くやり、「バックエンドではさらに実践レベルでお伝えします」という流れです。どちらが最適かは実際にやってみて参加者の反応をみて選択していってください。

第3パートで常識を壊したので、新常識として独自のコンテンツを用意しておくと満足度は高まり、ファン化もしやすくなります。独自コンテンツでなくても、業界であまり提供されていない切り口や見せ方にすると、強いインパクトを与えることができます。新常識を与えるということも意識してソリューションパートを構築していきましょう

 

ゴールは細かく的確に誘導せよ!

いよいよ第5パート、参加者を商品購入に導くアクションパートです。これまでの4つのパートは全て、このアクションパートで主催者の意図した行動を参加者にとってもらうための布石。これまでの4つのパートを原則に基づいて構築していれば、参加者はすでにあなたへの信頼はもちろんのこと、自分への自信と未来への可能性を感じています。さらなる成長へ期待を抱いている状態ですので、ほんの少し背中を押してあげましょう。

アクションパートはバックエンド商品を売るのではなく、紹介をするという感覚だと分かりやすいかもしれません。商品の紹介をし、申し込みに関する疑問を取り除いていき、申し込み方を指示する。これだけです。特に難しいことはありません。バックエンド商品の特徴やベネフィット、金額、特典などがあれば紹介します。この後、必ず質疑応答の時間をとり、セミナー内容やバックエンド商品に関する質問に答え、申込書の際に仕方と提出の仕方を指示します。

フロントセミナーで参加者に最後にとってもらいたい行動は、バックエンド商品の申込書にサインし、提出させること。ですので、申込書の書き方と提出の仕方を丁寧に指示する必要があります。「お申込書にお名前と電話番号、メールアドレスを記入し、ご希望のお支払方法にチェックを入れてください。ご記入終わりましたら、後ろの受付にいるスタッフの○○さんにお渡しください」といった案内です。申込書にサインをしたとしても、提出しない場合もありますので、しっかりと提出まで導きましょう。

クロージングシナリオの注意点でもあるのですが、何があってもアクションパートの時間だけは確保しましょう。バックエンド商品を販売することが目的のフロントセミナーで、時間が無くなって紹介すらできないというのは本末転倒。他のパートは幾分か省略しても、アクションパートの時間は確保するようにしましょう。

アクションパートにかける時間ですが、全体の時間配分も含めてお伝えすると、2時間のフロントセミナーなら、コネクト、フォーカス、ショックの3パート合計で60分。ソリューションで30分。アクションで15分。残りの15分はバッファが目安で構築していきましょう。4時間であればその倍が目安となります。フロントセミナーではとにかく信頼関係の構築に十分な時間をかけてください。

これまでクロージングシナリオの全体の流れ、そして各パートの役割、注意点についてお伝えしました。これらを基にシナリオを作成したら、必ず一貫性をチェック、「みなさん、こんにちは」から「本日はありがとうございました」まで矛盾がなくスムーズに展開していくかの確認を忘れないでください。あとは実践で試してみて、参加者の反応に応じてシナリオの最適化させ、成約率の高いシナリオへと成長させていきましょう。

 

第四章:セミナー運営が売り上げを左右する

セミナー運営は参加者の心のスキマを埋める

第4章からセミナー運営についてお伝えしていきます。第2章でお伝えしましたが、参加者の満足度は問題解決ではなく、サービスやホスピタリティが8割。つまり、セミナー運営で満足度が決まると言っても過言ではありません。どんなにクロージングシナリオの完成度が高かったとしても、実際のセミナー会場でのサービスやホスピタリティが低ければ、バックエンド成約率を高めることは難しくなります。逆にセミナー会場でホスピタリティを発揮することができれば、安定して商品を成約に導くことが可能です。セミナーは、おもてなしが命、ということを覚えておいてください。

セミナー運営の基本は、参加者の心のスキマを埋めていくことです。安心感を与えることもその一つですが、参加者の満たされていない心をセミナーによって埋めていきます。心のスキマがない人は全人口の1割もいません。どんなにお金を稼ぎ、地位も名声もある、いわゆる成功者だとしても、心のスキマはあります。参加者の抱える問題を突き詰めていくと心のスキマが原因であり、本当に求めているのは心のスキマを埋めることだということに気が付くことでしょう。

心のスキマは5つあります。不安、窮屈、退屈、無価値、否定・拒否 の5つ。これらの心のスキマに恐怖を感じ、何とか解消しようとあれこれと模索し行動に移すのです。不安ではなく安心・安全、窮屈ではなく快適さを求め、退屈ではなく変化を求めます。自分には価値があると認めてもらいたいし、愛されたいし、共感されたいのです。ほとんど乗らないにもかかわらず高級車を購入するのは、自分にはそれだけの能力があり、価値があると認めてもらいたい人の典型です。人や荷物を運ぶだけなら軽自動車でも十分なはずですが、高級車をあえて買うのは『移動する』『運ぶ』という問題解決以外の要素、つまり心のスキマを埋めるためだということはご理解いただけると思います。

参加者の心のスキマを埋めると、参加者の頭の中には「○○さんのセミナーに参加すれば、わたしの心のスキマが埋まる」というルールが無意識のうちの出来上がります。ですので、心のスキマが埋まり、満たされる快感を感じるためにまたセミナーに参加しようと思うようになるのです。人は痛みを避ける、もしくは快楽を得るために行動をすると先に述べました。あなたのセミナーが参加者にとって快楽を得るための手段として位置づけされるのです。そのためにも心のスキマは埋めていきましょう。

フロントセミナーでは初めて参加者とお会いするので、とにかく不安を取り除き安心感をあたることが第一優先です。と同時に不安以外の心のスキマを埋めていきます。セミナー運営でどうやって参加者の心のスキマを埋めていくのか? 心のスキマを埋めるおもてなしのセミナー運営をこれからじっくりと学んでいきましょう。

 

イスと机の並べ方で成約率アップ!

セミナー運営で最重要項目は会場設営。イスや机、プロジェクターやスクリーンを置く位置、受付の場所やひいてはスタッフの立ち位置まで細かく設定していきます。会場設営とは環境づくりであり、セミナー会場の大小、集客人数に関係なく会場設営は必要です。会場設営次第で満足度やバックエンド成約率は大きく変わってきますので、ここでしっかり学んでいきましょう。

会場設営は、セミナーに集中しやすく、信頼関係が構築しやすく、行動しやすい環境を作って行くことが基本です。セミナー会場が広い、綺麗などは満足度を高めるためには、大した効果はありません。使い勝手がいいだろうと考え広い会場で開催するのは、逆効果。その理由は後ほどお伝えします。

会場設営で一番最初に必要となるのは、ゾーニングです。会場内を目的に合わせて、ステージ、受付、参加席、バックヤードなどの場所(ゾーン)を決めていきます。ここでの注意点は、目的のはっきりしないゾーンは作らないこと。こうした空間の空白は、人に不安感を与えてしまいます。広い会場が逆効果なのは、空間の空白が出来てしまいやすく参加者に不安を感じさせてしまいやすいからで、会場はむしろ狭いくらいで丁度いいのです。

ゾーニングをする時、空白がないようにするのはもちろん、同時に参加者、スタッフ、講師それぞれの行動が互いを邪魔しないように動線を考える必要があります。特に重要なのは受付から参加席までの動線です。これは、開始時にスムーズに座席についてもらい時間通りにセミナーを開始するため、そして、終了時に受付に申込書を提出させやすくする2つの意図があります。実は受付を作るだけでバックエンド成約率は大きく変わるので、動線も含めできるだけ受付は作るようにしましょう。

参加者をセミナーに集中させるためには、どうしたらいいでしょうか? それは、集中を妨げるものは撤去することです。講師とホワイトボード、スライド以外、参加者の視界に入れてはいけません。ですので、講師の真上に時計がある状況は絶対に避けなければいけません。会場内から時計を外す。窓があればブラインドやカーテンをおろす。張り紙などがあればすべて取る。スライドと講師が同時に見えるように照明を調節する。これらは最低限やっておきましょう。

フロントセミナーでは基本的に机は出さず、椅子だけにすることをオススメします。というのも、人は物理的に距離が近い方が信頼関係を構築しやすいからで、会場は狭い方がいいのはこうした理由からです。セミナーの性質上、机が必要な場合には、島形にしたり、1つのテーブルに3人掛けにしたり、配置を色々と工夫をしてみてください。セミナーに集中しやすく、信頼関係が構築しやすく、行動しやすい。そんな環境を作っていきましょう。

 

音楽の力で参加者の背中を押す

映画や舞台の演出にBGMがかかせないように、音響はセミナーにおいて非常に重要な役割を担います。会場内の空気感を変え、進行のサポートとなり、参加者の背中を押すなど、セミナー自体をコントロールすることが可能なのです。ここでは音響の使い方について学んでいきましょう。

まず楽曲の選定についてです。基本的に楽曲は、参加者にどのような状態になってもらいたいかで変わります。参加者にリラックスさせたいのであれば、癒しを感じるヒーリング曲やクラシック、テンションを高めたいのであればロックやダンス曲、セルフイメージを高めたいのであれば誇りや栄光を感じる曲、愛や感謝を感じたいのであればバラードといった具合です。例えば闘志や勇気を感じさせたいのであればロッキーのテーマ、恐怖を感じさせたいのであればジョーズオペラ座の怪人のテーマ、ワクワク感を感じさせたいのであればミッションインポッシブルのテーマ というように映画のBGMを想像してもらうと分かりやすいと思います。

またワークの内容によっても楽曲は変わります。短時間にどんどんアイデアを出すようなワークでは、テンポの速い曲を選びます。テンポの速い曲を聞くと脳の回転が速くなり、アイデア出しの後押しになります。また自分と向き合うワークでは、少しゆったりとしたテンポ、瞑想曲のようなゆったりとした曲を使用するといいでしょう。

感情とテンポの2つを押さえておけば音響は特に問題がありません。色々とテクニック的なこともありますが基本はこの2つです。ここで重要な問題が1つあります。それは、音響担当が講座内容や意図をくみ取れず、ちぐはぐな楽曲を流してしまうことです。ある程度、音響の打ち合わせをしておくことは出来ますが、全てが打ち合わせ通りにいかない時もあります。セミナーはライブですから、その場の状況に応じて急にワークが追加されることもあるでしょう。その時に講師の意図とは異なる楽曲が流れたとしたら、効果がないとは言わないまでもワークの効果は薄くなってしまいます。例えば映画で20年離ればなれになっていた親子が再開する感動のシーンで、ラジオ体操の曲が流れてしまうようなもの。これは極端ですが意図と合わない選曲をしないためにも、音響担当は講師としっかりコミュニケーションをとり、講義内容やワークの意図をくみ取れるようにしておきましょう。

私はセミナーで、「セミナー会場の扉の内側をディズニーランドに変えろ!」と伝えています。ディスニーランドのような非日常の異空間を作り出すからこそ独特の世界観が生まれ、人はその世界観のファンになっていくのです。もちろん出来ることと出来ないことがありますが、音響は比較的簡単に世界観を演出できる非常に強いツール。音響は実は奥が深いので難しい部分もありますが、是非とも活用してみてください。

 

配布物の一工夫で満足度を高める

セミナー会場で配るレジュメやテキスト、特典などの配布物などで満足度を高める方法についてお伝えします。配布物は絶対に用意しなければいけないということはありませんが、せっかく用意するのであれば参加者の心を満たす方法を知っておくと、満足度は非常に高まるので参考にしてください。

配布物を作成する時に頭に入れておいて頂きたい心構えがあります。それは、もらった感を感じるように作ること。もらった感、受け取った感、手に入れた感を感じるように作成していくことが基本です。具体的に言えば、重く、デカく作ること。同じ特典でも小さく軽いモノより大きく重いモノの方が、モノを手に入れた感覚があり満足度が高まるのです。

例えばレジュメやテキスト。ペラペラの紙に印刷するよりも少し厚手の紙に印刷し、重みを出します。また、1ページの行数や1行の文字数を減らしたり、写真や図を挿入、メモ欄等を追加し、ページ数を増やすことが可能です。また、レジュメをクリップで止めるのではなく、2穴バインダーに挟む方法も覚えておくといいでしょう。紙1枚の資料などはパウチ等でコーティングすると品質が一気に高まります。こうして、レジュメやテキストは内容の厚さではなく、物理的な厚さを作り、もらった感を演出していくのです。

動画や音声の配布は、小分けにして量を増やします。例えば、3時間の音声をCDにして配布するとしましょう。その場合、90分のCDが2枚でも60分が3枚でもなく、30分のCDを6枚にして配布するといいでしょう。セミナー会場で「コチラが特典のCDになります」と手渡されたモノが、2枚のCDと6枚のCD、どちらが満足するでしょうか? もらった感が大事なのです。

Webで動画や音声を配信する場合は、もう少し小分けにしても大丈夫です。Webでの配布は重みや大きさを感じることができないので、量を増やすことがポイントです。区切りが悪いところで話を切るのはナンセンスですが、話の転換ポイントであれば15分~20分に分けても問題ありません。というのも、Web配信は電車やバスなどの移動中に視聴することができるので短い時間の方が便利だったりします。

セミナーで録画した動画を特典として配布する場合、動画から音声を抽出し、動画と音声の両方をプレゼントすると喜ばれます。動画を観る時間がない人は、音声が欲しいのです。作業の手間は一回で済むので音声もプラスすることをオススメします。

会場での配布物は、デカく重くが基本です。更に付け加えるのであれば、こうした大きい配布物を持って帰るための手さげ袋が用意されていると、ホスピタリティを示すことができますね。このようにして配布物に一工夫して、参加者の満足度を高めていきましょう。

 

運営スタッフチームを育てよう

セミナー運営で最も重要なのは、スタッフ育成です。スタッフは単に受付や音響などの各ポジションがこなせればいいという訳ではありません。与えられたポジションを全うできるリーダーシップと、参加者におもてなしができるホスピタリティが必要となります。フロントセミナーでは特に、スタッフが参加者にバックエンド商品のクロージングができるように教育しなければいけません。セミナー運営は講師とスタッフを1つのチームとして機能させることで、最高のセミナーを作り出すことができます。

スタッフは、最も参加者の近くにいます。一番最初にお出迎えするのも、一番最後にお見送りするのもスタッフ。喜びの声を真っ先に聞くのもスタッフだし、相談やクレームを受けるのもスタッフ。最も参加者を理解しているのはスタッフです。講師は参加者の顔しか見れませんが、スタッフは参加者の背中を見守ることができます。スタッフは最もセミナーを客観的に観ることができ、講師が気付かないこともいち早く気付き、すぐに対応できる存在なのです。参加者に寄り添い、講師の支えとなり、セミナーの竜骨となるスタッフをより高い基準に育成する必要があるのは、ご理解いただけたことでしょう。

まずスタッフの数ですが、参加者の人数の15~25パーセントを目安にしてください。この中には音響、撮影、通訳、司会などの特殊技術が必要なポジションも含まれています。それらを除くのであれば、参加者10人につきスタッフ一名を用意しておくといいでしょう。スタッフが多すぎると参加者にプレッシャーを与えてしまい、不安にさせてしまいます。逆に少ないとフォローが不十分になります。セミナー内容やスタッフの経験値によって変動しますが、参加者の人数の15~25パーセントを目安にして調整してください。

スタッフ育成に必要なのは各ポジションのスキルではなく、各人のセルフイメージを高めること。そして、ビジョン、ミッション、ゴールを共有し、意思統一をすることです。セミナー前には必ずスタッフミーティングの時間をとることをオススメします。セミナー自体のゴールや目的と、スタッフ個人がもつゴールや目的を共有していきます。スタッフはお手伝いさんではありません。セミナースタッフを通じて、スタッフ個人の目的が達せられる必要があります。セミナーは講師、参加者、スタッフ、他関係者全員に得られるものがあってはじめて成功と言えるでしょう。特にスタッフが自己犠牲にならないように、スタッフ個人のゴールや目的も共有していきましょう。

誰かだけが得し、誰かが損をする。そんなセミナーにならないためにも、より高いセルフイメージで参加者をサポートできるよう運営チーム、スタッフを育成していってください。

 

第5章:さらに成約率を高めるために

上手くいかない時は前提を疑え!

第5章ではさらにバックエンド成約率を高めるためにどうすればいいのかについてお伝えしていきます。これまでにお伝えした内容を1つずつクリアしていけば、セミナークロージング力は高まることでしょう。しかし、どんなに頑張ってもバックエンド商品が売れないという現象が起きるのです。何故か? それは、そもそもの前提が間違っている場合が殆ど。前提を見直さなければいけないのです。

これまでお伝えした内容は、『ターゲットもニーズも把握し、ターゲットが欲しがる商品内容と価格設定ができている』という前提でお話ししてきました。この前提があるからこそ、これまでお伝えしたことが活用できるのであって、そもそもこの前提が間違っている、簡単に言えば『購入されない商品』をいくら作っても購入されません。シナリオや運営がどうこう以前のビジネスの土台が出来ていない状態です。

フロントセミナーに集客でき、バックエンド商品に興味を持っていたとしても、支払い能力がなければどうでしょうか? それは小学生を集めて、大画面でゲームができるからと50インチ液晶テレビを勧めても購入できないのと同じ。購入したくてもできないのです。だからといって購入できない方に合わせて値引きや分割払いを提示しても、結局は金額がネックになって購入しませんし、分割払いも途中で払えなくなったりもします。無駄な労力がかかってしまうので、セミナーで高額商品を販売したいのであれば、購入できる人をフロントセミナーに集めなければいけません。

多くの人はセミナー会場を満席にすることに意識がいってしまいがちです。しかし、問題は参加者の質。バックエンド商品を購入しない人ばかり集まったとしても、肝心の本命商品が売れなければ赤字です。バックエンド商品を購入しない人を100名集めるのであれば、購入する人を3名集めた方が確実に売り上げは伸びます。考えなければいけないのは、満席より利益。しっかりと利益を考えて集客しなければ、商品は売れません。売れたとしても無駄な労力がかかるので、誰をフロントセミナーに集めるのかは常に意識しましょう。

冒頭でセミナービジネスは、商品作成、集客、営業のバランスが大事だとお伝えしました。
この3つは点ではなく線になっているので、『購入されない商品』を作成した時点で間違ったターゲットを会場に呼び込み、商品を販売しても売れないという状態を産み出します。マーケティングを学んでいくと必ず出てくるのが、『顧客は誰か?』『ニーズは何か?』の2つの質問。セミナークロージングもこの2つの質問に答えられて、初めて効果を発揮します。『ターゲットもニーズも把握し、ターゲットが欲しがる商品内容と価格設定ができている』という前提が出来ているかを常に意識していきましょう。

 

フロントセミナーは最適化をしていこう

バックエンド成約率を高めるためには、最適化が必要です。どんなにシナリオを練り、運営の準備をしたとしても、たった一度のフロントセミナーでうまくいくことはそうそうありません。経験値が増えてくると、1回のフロントセミナーで多くのバックエンド商品を販売できるようになりますが、はじめのうちは数をこなしトライ&エラーを繰り返すことが重要になってきます。

フロントセミナーは最低でも3回は開催するようにしましょう。もしフロントセミナーに30名集めるのであれば、30名を1回より10名を1回の方が圧倒的に経験値が高まります。同じテーマで集客をしているのですから、同じ悩みを持つ参加者が集まりますし、疑問点も質問もさほど変わりません。参加者の反応を見て、より伝わる言い回しに変えたり、シナリオの順番を多少前後させるなどの改善ができます。これまでの経験上、3回目から参加者の反応がガラリと変わるのです。これが1回しか開催しないと、例えば冒頭での200名集客して無料相談2名のように、失敗したらもう挽回のチャンスはありません。いずれにしても運営スタッフの育成ができていないと、集客人数が増えれば増えるほど成約率は下がっていくので、はじめのうちは定員10名のセミナーで経験を積み、同時にスタッフを育成していきましょう。

10名ほどの少人数であれば、参加者一人一人と接する時間は多くなり、傍に寄り添ったセミナーをすることができるので、先生、相談役の地位を確立できますし、講師1人でも十分です。しかし、10名を超えると名前も覚えてられなくなるし、1人にかける時間も短くなり、フォローもおぼつかなくなってきます。そこをフォローするのがスタッフの役割です。講師との信頼関係が薄くなりがちな大人数セミナーでは、スタッフが参加者のそばに寄り添うことにより信頼関係を強くしていくのです。ですので、参加者10名につきスタッフ1名がフォローに入れるようにしていくと大人数セミナーでもバックエンド成約率は高まります。

例えば30名のセミナーであれば、講師と3名のスタッフで運営していきましょう。ただし、スタッフ育成をしていることが前提です。クロージングできない人がスタッフに入っても、バックエンド成約率は高まりません。そのような状態であれば、10名のセミナーを講師1人で3回やった方が成果は出ます。特別なイベントでは複数開催は難しいので、綿密な打ち合わせとトレーニングで本番に臨むしかありませんが、フロントセミナーであれば、とにかく数をこなしトライ&エラーを繰り返して、望む成約率まで最適化を繰り返していきましょう。

 

「伝える」プレゼンは今すぐやめる

セミナークロージングでは、プレゼンテーションを磨くのは後回しで構いません。もちろん磨くに越したことはありませんが、それよりも大事なのはシナリオと運営です。実際の所、シナリオを作って講師として3回話せばプレゼンテーションは圧倒的に上手になるのです。いつも同じテーマで同じ流れで同じ質問をしているのですから、経験値によって心の余裕ができてくるし、間の入れ方や抑揚、ジェスチャーなども無意識のうちにつくようになっています。やがて限界はきますが、はじめのうちはシナリオと運営を磨くことに注力することをオススメします。

ここでプレゼンテーションで最も重要な心構えをお伝えします。はじめのうちはこの心構えを意識して登壇すればプレゼンテーションは自然と磨かれていきます。さらにプレゼンテーションだけでなくシナリオ、コンテンツ、セミナービジネスそのものにも関係してくる心構えなのでしっかりと心に刻んでください。その心構えとは『伝わる』です。

プレゼンテーションというと『伝えること』、どうしたら自分の思いや言いたいことが伝えられるか? に意識が向きがちです。しかしこれは受け取る側のことを考えていない非常にモッタイナイ考え方。せっかく伝えたいことがあっても、相手に伝わらなければ意味がありません。本当に大事なのは『伝える』より『伝わる』なのです。

たまにセミナーで、参加者のレベルに合わさず難しい用語のまま難しい内容を話している講師に出合いますが、参加者の様子を見るとあまり理解できていないように感じます。小学生にも分かるように、数学の微分積分をリンゴとバナナで説明できて、ようやく数学が苦手な大人にも伝わります。確かに難しい用語やテクニックを教えると、参加者は難しいことを学んだという満足度は高まりますが、実践として使えないので行動に移せず成果が出ません。参加者が行動をしないという相談を受けることがありますが、その原因は参加者に伝わっていない場合もあるのです。

参加者に伝わるためには、参加者が理解しやすく、覚えやすく、使いやすく、誰かに話しやすい状態にセミナーやコンテンツを作っていかなければいけません。AIDMAPDCA、SMART、ジョハリの窓などが広まり多くの人に使用されているのは、相手に伝わるように作られているからで、動物占いも元々は素質論を分かりやすく広めるためにアレンジされたものです。難しいことを難しく伝えるのは非常に簡単。しかし、難しいことを相手に伝わるカタチに変換して伝えるからこそ、相手に届きます。そして、相手に届くと喜びや感動が事前と広がっていきます。これが口コミです。

参加者に理解してもらい、行動し成果を出してもらうためには『伝える』ではなく『伝わる』。心構えとして常に意識して取り組んでいきましょう。伝わるとやがて広がっていきます。

 

セミナーは講師はあり方が試される

セミナーでは冒頭の5分で勝負が決まる、いや登場の時点で勝負が決まると思った方がいいでしょう。登場から5分、できればコネクトパートの部分は念入りに準備をし、練習を重ねておくと、参加者の信頼度は全く違ったものになります。「冒頭の挨拶で信頼ができました」といったアンケートを頂くほど、冒頭は重要です。歌であれば歌いだしでしくじってしまうと、あとは聞いてもらえません。映画では最初の10分、音楽であれば最初の4小節、セールスレターであればヘッドコピー。なんでもそうですが始めが肝心なのです。

講師は参加者の前に姿を現す前には、ステートが出来上がっている必要があります。ステートとは心と体の状態のこと。人前に出るのにふさわしいステート、例えば顔の表情や目つき、立ち方や胸の張り方などがほど良く力の抜けた体の状態と、溢れる情熱で興奮しつつも冷静に自分を観察できるリラックスした心の状態を作ってから参加者の前に姿を現すようにします。むしろステートができていないのであれば、参加者の前に出てはいけません。どんなにカッコイイスーツで着飾ったとしてもステートが低ければ、スーツに着られている痛々しい姿になり評価を下げてしまいます。しかし、ステートがしっかりと出来ていれば、例えTシャツに短パンだとしても、参加者を魅了する講師となります。真のカッコよさはテクニックでもスーツなどではなく、講師の内側からにじみ出るものです。

ステートを作ってから登壇すると、姿勢、歩き方、声のハリや大きさがまるで違ってきます。目に力があります。挨拶に元気があります。自信を感じます。このような講師が現れ、セミナーが開始したとしたら、参加者はどのように感じるでしょうか? 最初の5分で大きな信頼を得られるのは間違いないです。もしあなたが参加したセミナーの講師が、体が丸まり、ぼそぼそと小さい声で話はじめ、悲壮感すら漂っているのを感じたとしたら、「この人、大丈夫かな?」と不安になるのではないでしょうか。そうなっては、その後の挽回は困難。はじめが肝心なのです。

勘違いされている方もいるのですが、講師が届けるのは『声』ではなく『エネルギー』です。声はマイクを使えばいくらでも届きますが、エネルギーは届きません。セミナー会場の隅々にまで自分のエネルギーを届ける意識が必要です。稀にスライドやレジュメ、PCを読むだけになってしまっている講師がいますが、まるでスライドやレジュメに向かって独り言を言っているようで、ちっともエネルギーが届いていません。声は届いていますが心には響きません。しっかりと参加者と向き合うことができてこそ、エネルギーが届きます。ステートによってエネルギーを作り出し、参加者にエネルギーを届ける。講師はこうした心の在り方が試される、ということを覚えておいてください。

 

無意識にかけている心のブレーキを外す

学んだ事を1つずつ実践し改善を繰り返したとしても、成果が上がらない。そんなもどかしい状況に陥る時があります。無意識のうちに自分自身でバックエンド成約率を下げてしまっているのです。成功哲学では「成功はスキルとマインドが重要」とよく言われますが、講師の潜在意識が関係しており、いくら頑張ってもマインド(潜在意識)が商品を売ることを妨げてしまうのです。

これは車を運転していいて無意識でブレーキを踏んでいるようなもので、「高額セミナーをバンバン売れるようになりたい!」と思ってアクセルを踏んでいたとしても、無意識のうちにブレーキも踏んでしまっていては、前に進まず位置は変わらないまま。アクセルとブレーキを同時に踏み続けていると、やがて車は壊れ廃車になります。ビジネスであれば廃業です。無意識のうちに踏んでいるブレーキを外さない限り、前には進みません。

売っている商品に自信がない、人前で話す事が苦手、セールスに悪いイメージを持っている、人にお金を請求する事が出来ない、断られるのが怖い、そもそもお金が嫌い などといった心理ブレーキは、バックエンド商品が売れない方のよくみられる特徴です。こうしたブレーキの正体は何でしょう? それは、『恐怖』。人は様々な恐怖を持っています。恐怖から逃れ、自分自身を守る行動を無意識にしてしまうのです。お金を受け取ることに恐怖があれば、お金を請求できません。断られることが恐怖であれば、自分からアプローチしません。自分の恐怖を発見し、解除していかなければ、望む結果を得ることは出来ないのです。

恐怖には大きく2つの恐怖があります。1つは『自分には価値がない』、もう2つは『自分は愛されていない』。自分に価値がなくなる、自分は愛されなくなる。これがどれほどの恐怖であるかは、すぐに想像できることでしょう。人はこの2つの恐怖から自分を守ろうと何らかの行動をし、時としてリストカットなどの自傷行為や自殺、殺人にまで発展する場合もあります。人の命に関わるほど強力な恐怖がこの2つなのです。

『セルフイメージを高める』というのは、結局のところ『自分は無条件で価値があり、無条件で愛されている人間である』というアイデンティティにどれだけ確信があるかだと、私は考えています。セルフイメージの高い方は、自分には価値があると知っているので自信がありますし、何をしても愛されていると知っているので、批判や拒絶の恐怖もありません。堂々と自分の商品を紹介し、販売し、お金を受け取ることができるのです。

こうした恐怖を発見し、ひとつずつ解放していくことは成約率増加を加速させるだけでなく、あなたをストレスから解放していきます。無意識にかかっている心理ブレーキは、なかなか根深く表面的に解除できたと感じても本質的な原因が解決せず、ブレーキがかかったままの場合もあるので、コーチングや心理ブレーキを解除するセミナーなど専門家に相談するとよいでしょう。

 

終わりに

私はもともと人見知りで、アガリ症です。人前で話す仕事につくなんて思ってみなかったし、まさか営業についてのコンサルティングをするなんて10年前には想像もしていませんでした。

10年前の私はハウスクリーニング、内装業の職人で週6日、朝から晩まで働いていました。収入はそこそこあったものの自分の人生を生きている実感がなく、未来への希望もなく、いつもと変わらない毎日。何かをしたい。人生を変えたい。でも、どうしたらいいか分からない・・・。やり場のない自分への怒り、情けなさ、不甲斐なさを誤魔化すように、毎晩、居酒屋を飲み歩く。そんな日々もありました。

しかし、とあるきっかけからプロのセミナー講師になることを決意し、2008年3月に独立をしたのです。当時、現在ほどセミナー講師を目指す人はおらず、プロ講師になる方法を教えてくれるセミナーも見当たりませんでした。もともと畑違いのブルーワーカーですからセミナー会場の取り方も分からないところから、誰かのセミナースタッフをしながらひとつずつ7年かけてリソースを蓄えていったのです。

アンソニー・ロビンズのセミナーにもクルーとして何度か参加したのですが、ボランティアなので一切の報酬はありません。それどころか、海外セミナーなので渡航費、滞在費で20万円は自腹になります。しかし、その経験で世界トップスピーカーのセミナービジネスを学ぶことができ、その後、大きな財産となりました。

本書でお伝えした内容は日本のセミナーだけの経験ではなく、海外トップスピーカーのセミナーの経験も融合させ、日本のセミナー向けに改良を重ねてきたものです。特にホスピタリティ、おもてなしは、察しと思いやりを重んじる日本人だからこそセミナーに活用できることだと考えています。シナリオだけでは少し力技になりかねません。しかし、おもてなしのセミナー運営をすることで、日本人だからこそできるセミナーができるのではないでしょうか?

結局のところ、セミナークロージングは「私以上にあなたの幸せを考えている人はいません」と自信を持って言えるかどうかだと私は考えます。スキルやテクニックではなく、参加者の幸せを願い、参加者の視点に立った思いやり重視のセミナーだからこそ、商品が売れるようになるということが、本書で最もお伝えしたかったことです。

そんな思いも含め、本書ではできるだけ実践で使える部分をお伝えしましたが、なかなか説明が難しい部分や図解が欲しいと感じる部分もあったかと思います。そして、まだまだお伝えできていないことも沢山あります。私のブログではもう少し細かい説明や集客、プレゼンテーションに関する記事もございますので、フォローアップとしてご活用ください。また、セミナークロージング力を磨くセミナーも実施していますので、こちらもご活用いただき、あなたのセミナービジネスにお役立てください。
ブログURL:http://www.seminar-business.com/ (現在、閉鎖)

本書があなたのセミナークロージング力を高め、ビジネス発展へのきかっけになれば嬉しいことです。

最後までお読みいただきありがとうございました!

どこかであなたにお会いできる日を楽しみにしています!

2015年8月吉日 黒崎英臣

 

 

<以上、本文>

※読みやすくするため、一部を改編しています。