旅人、新世界をつくる

旅をしながら新世界をつくっている人の日常

移住はお金の奪い合い?町おこしに必要なのは『応援される』町づくり

旅をしていて、旅先で寂しくなることがある。

それはね、旅先の人たちが町をアピールするばかりに、別の町と比較して、その優位性を示すってこと。

「ここの川の水はさ、○○よりも澄んでいて美味しいんだよ」

「××にもこの料理はあるけど、本当はここが源流で、こっちの方が正しい」

「ここの温泉の方が、△△より効き目があるよ」

そんなことを話してくるんだよね。

そんなこと聞いてないのに、別のものを引き合いに出して、アピールしてくるのよ。

こちとら旅人はさ、どっちが一番かなんて興味ないんだよね。

目の前に出された料理がおいしければそれでいいし、そこにある温泉が気持ち良ければそれでいいわけ。

 

ぶっちゃけ、

「知らねーよ、そんなこと!

どうでもいいし!」

って感じだ。

そんな町の勝負、はっきりいってどうでもいい。

ほんと、どこの旅先も素晴らしいものは素晴らしいのよ。

どっちが上か下かなんて、どうでもいいの。

だって、どっちも素晴らしいんだから。

それなのにマウンティング話をしてくるわけ。

それを聞くとさ、ほんと、寂しい気持ちになるのよね。

 

たまにね、町おこしについての相談を受けることがある。

どうしたら、町が活気づくのか、そのためにどんなイベントをしたらいいのか、みたいな相談がくる。

で、話を聞いているとさ、移住を町づくりの目的にしちゃってたりするんだよね。

他の町より自分たちの町の方が魅力があることをアピールして、移住してもらおうって。

これね、個人的には、町おこしとしてあまり好ましくないなって思うのよ。

いや、移住が好ましくないわけではなくて、移住を目的としちゃってることが好ましくないって。

なぜか?

移住がお金の奪い合いだから。

 

消滅可能性都市ってのがある。

消滅可能性都市って、少子化や人口移動などが原因で将来消滅する可能性がある自治体のこと。

町から人がどんどんいなくなっちゃって、自治体にお金が無くなっちゃって、町の維持ができなくなっちゃうよ、消滅しちゃうよ、っていうのが消滅可能性都市。

それに危機感を感じている人たちが、あれこれと考え、町おこしをしている。

で、少しでも町を気に入ってもらって、移住してもらおうってアクションを起こしてるわけ。

人が増えると活気が出るから、それはそれで良いんだけど、問題は移住。

移住ってことはさ、別の所から移ってくるってことでしょ。

ここでよくよく考えるとさ、もしも移ってくる先の町が自分の町よりも消滅の危機に瀕している町だということもあるわけよ。

例えばさ、A町は人口4000人、B村は人口1000人、それぞれ消滅可能性都市でそれぞれ町おこしをしているとしようか。

ここでA町が『住みやすい』町だというアピールが成功。

他の町から移住者が増えた。

大都市からの移住が増えた。

そして、人口1000人のB村からもA町に移った。

消滅の危機に瀕し、なんとか人口を増やそうとしているB村から人が流れた。

こうした事が現実に起こるわけよ。

でね、移住ってのは結局のところ、お金。

自治体を維持するための税収を増やすってことなのよ。

だからさ、移住を目的にするってのはさ、自治体の維持をするためのお金を増やすことが目的なわけで、それをするってのはお金の奪い合いだってこと。

町おこしに、お金を奪うような勝負って必要?

それって、平和な町って本当に言えるんかな?

って、僕は感じてるんだよね。

 

町おこしをすることは全然かまわないし、移住をすすめるのはどんどんやったらいいと思う。

移住したい人もしたらいいと思う。

だけどね、移住を目的にした町おこしは、単にお金の奪いに終わるなって感じるのよね。

 

じゃぁ、どうするんだってことなんだけどさ、町の維持ができたら良いわけでしょ。

それを自治体だけがやろうとするから、税金だけでなんとかしようとするから、奪い合いみたいなことになるんじゃないかな。

要するにさ、町がピンチの時に、町を手助けしてくれる応援者が町の外に沢山いれば良いんじゃないか、って思うんだよね。

町のことは町で何とかする、ではなくて、町のことは町以外の人と何とかする。

っていう状態になったら良いわけ。

例えばさ、大雨で橋が流れたとしたら、復興で応援が集まるでしょ。

それを災害じゃなくても、できるようにしておいたら良いんじゃないのかな?

「あそこの村、今ちょっとヤバいらしいよ。応援に行こうぜ!」

ってひとが町の外に沢山いたら良いじゃん。

「俺のばあちゃんが住んでる村がちょっと大変らしい。ほんの少しだけど、応援金を送ろう」

そんな応援金でボロボロになった道路を修復したら良いじゃん。

町を綺麗に維持したら良いじゃん。

って思うのよ。

そんなことをしたらさ、人も流れてくるでしょ。

町も活気づくじゃん。

別にさ、他の町と比べる必要もないし、移住というお金の奪い合いをする必要もない。

住みたい人はそこに住めばいいけど、わざわざ囲い込みする必要ってないなって。

 

実は、東京の豊島区(池袋があるところ)も消滅可能性都市なんだよね。

そこでやってるのが、女性に住みやすい町づくり。

さぁ、これで地方の女性がこぞって豊島区に移住したらどうなるか?

そりゃ、過疎化が進むよな。

そこで、田舎は田舎の住みやすさをアピールしよう、って考えてアピールしてるところもあるけど、移住を目的にしてしまったら、単にお金の奪い合いになってしまうのは先に述べた通り。

僕は思うんだけど、町おこしで本当にやる必要があるのは『住みやすい』町づくりではなく、『応援される』町づくり、なんじゃないかなって。

町の外の人に応援してもらえる。

そんな町づくりが必要じゃないかなって。

これってさ、町の人と町の外の人に分離感が無いってことなんだよね。

自分が住んでない町の事も、自分の町のように感じてくれる。

そんな町と人の関係性が、街づくりには必要かなって思うんだ。

 

町づくりに携わる人は、本当にその町が大好きで、情熱をかけて取り組んでいるのがよくわかる。

なんとかして、この街を元気にしたい!

その強い気持ちはよくわかる。

僕もその活動について一切否定するつもりはないよ。

だけど、ちょっと視野が狭まりすぎてる感じもするんだよね。

もっと町の外の人を頼っても良いんじゃん。

もっと外の人と連携とっても良いじゃん。

町の問題を町の中だけで解決しようとしないでさ、みんなで解決していったら良いじゃん。

僕は、そう思うんだ。